某研究室のHP管理人がぼやくblog


by sukura_shinya
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エコパックカイロの原理を簡単に3

エコパックカイロの原理を簡単に
エコパックカイロの原理を簡単に2
に引き続き

別に焦らしプレーのつもりではなかったのですが、思った以上に長くなりました。
ちなみに、前回と同じ内容の繰り返しになってしまった気がするので結論だけ読むのが良いかも?

さて前回までにエコパックカイロは過冷却状態の液体に刺激を与えることで固体となり、液体から固体になる際に生じる熱を利用したカイロであるところまで説明しました。
液体から固体になる際に熱を発するのは、気化熱と逆の現象と説明しましたが、ではどうして液体が気体に、液体が固体になると熱の出入りがあるのでしょうか。


ものの3つのすがた:固体⇔液体⇔気体の変化
1-1物質の三態
今一度、気体・液体・固体の復習として上記リンクを参考にします。

気体・液体・固体のもつエネルギーの大小について、分子を人間にたとえて話をしてみます。
気体は分子が自由に動き回れる状態です。人間ならば、大きな広場で好き勝手な方向に走り回っている状態です。
液体では分子は束縛されていますが、ある程度は動き回ることができます。人間ならば、人ゴミのなかで歩いている状態でしょうか。人ごみの中ではそれなりに動けますが、流れに逆らうのは大変ですし歩道以外を歩くことはできません。
固体では分子の位置が固定され小さな振動しかできません。人間ならば、学校で机に座って授業を受けている状態でしょうか。机から離れることはできませんが、ある程度の動きなら先生にしかられない限り可能です。
このように考えると、エネルギーが一番大きいのは走り回っている=気体、次に液体、固体と想像できるでしょう。


前回、水を沸騰させる際に全ての水が沸騰するまで水は100℃のままなのは、加えている熱が蒸発の為のエネルギーに使われていると説明しました。気体・液体・固体のもつエネルギーの大小を踏まえて水の沸騰について考えると、気体は液体よりも自由に動き回れる=気体は液体よりも大きなエネルギーをもつので、水が水蒸気になるにはその足りないエネルギーを得る必要があります。ガスコンロで水を沸騰させる場合は、ガスの熱エネルギーがそのエネルギーですが、打ち水の場合はそれでは足りないので回りからそのエネルギーを気化熱として奪います。

逆に液体が固体になる場合では、固体は液体よりも自由に動き回ることができません。つまり、固体は液体よりも小さなエネルギーをしか持たないということです。固体から液体になる場合には、エネルギーが余ってしまいますので、それを周りに熱として放出する必要があります。つまり、これがエコパックカイロが温まる理屈です。


結論として、エコパックカイロは
1. 中身の液体は過冷却状態にある
2. 過冷却状態に金属板で刺激を与えて固体にする
3. 液体から固体になる際に熱を発する
という手順でカイロとして働くのですが、「3. 液体から固体になる際に熱を発する」のは、液体と固体では液体の方がエネルギーが高いので、固体になるために余剰のエネルギーを熱として放出しているということです。


ちなみに、これらを大学生の回答とした場合はレベルが低いので多分単位はきません(一年生なら問題ないでしょうが)。2年生以上ではエントロピーとか自由エネルギーなどに言及して答えましょう>しぶくん

じゃあ、なんで酢酸ナトリウムは過冷却しやすいの?と話は続くのですが、もう無理かな。
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by sukura_shinya | 2005-03-03 17:42 | 実験