暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号までの感想
2005年 03月 30日
暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
数学好きには垂涎の一品です。数学嫌いな人でも前半は言語学に近いので面白いと思います。
暗号はの歴史は古代にまで遡り、現在確認できる暗号は古代エジプトのヒエログリフに残っているそうですね。またロゼッタストーンからヒエログリフを解読した方法も暗号解読の手法と良く似ているのですが、このヒエログリフの解読に物理学で有名なヤングがその一歩を切り開いたと言うから驚きです。
数学嫌いだけど暗号に少しでも興味をもった人は、エドガー・アラン・ポーの黄金虫(原文)に文字を置き換えた単純な暗号を頻度分析で解読する方法の説明があるので読んでみると良いでしょう。
暗号の歴史を見ていると、カエサルシフト(シーザー暗号)→ヴィジュネル暗号→暗号機(エニグマ等)と1次元から3次元に進化していてなかなか興味深いです。そして暗号に関わる人が言語学者から数学者へと変遷していったというのも面白いですね。
後半のRSA暗号についても良く分かり、実はミレニアム問題のN≠NP問題と密接に関わっているのですね。以前ミレニアム問題を見たときはこんな純粋数学何に役に立つんだろうと思ってました。N≠NP問題以外の問題も、流体力学や大統一理論などの解明に役に立つんだそうな。
さらに次世代暗号として量子暗号にいて書かれています。本書の著者は量子力学に綻びが無い限り量子暗号は絶対に解けないと断言しています。そして、著者は量子力学の綻びは無いと考えているようですが、宇宙全体のエネルギーとして現在分かっているのはほんの少しなので量子力学も完全では無いと思います。ゆえに、量子暗号も完全とは言えないかもしれません。
暗号について深く学んだわけですが、どんなに完璧な暗号を使おうともPCの場合はセキュリティーホールやスパイウェアが紛れ込んでいれば全くの無意味。顧客情報を堅牢な暗号で守っても、内部の人間が持ち出せば簡単に露見する。結局は人が一番怖いんです。
参考 暗号の歴史
by sukura_shinya
| 2005-03-30 23:07
| 日記